こんにちは。福岡県那珂川市で、自然の力を借りて野菜を育てている「さいきのやさい」です。
立春を過ぎてもなお、朝晩の冷え込みが厳しい那珂川。畑に立つと、耳が痛くなるような寒さを感じますが、そんな中で野菜たちは静かに、けれど力強く呼吸をしています。
今日は、私たちの畑で毎日繰り広げられている、ちょっとした「知恵比べ」についてお話しさせてください。
パラダイスになった畑で
「さいきのやさい」の最大の特徴は、化学系の肥料や農薬、さらには除草剤も一切使わずに野菜を育てることです。 使用するのは、時間をかけてじっくりと発酵させた自家製の肥料のみ。
このこだわりの土で育ったキャベツは、驚くほど甘く、えぐみがありません。 でも、その「美味しさ」を一番よく知っているのは、実は私たち人間ではなく、畑に住む小さな虫たちかもしれません。
農薬を使わない畑は、彼らにとっては安全で最高のご馳走が並ぶパラダイス。 油断をすれば、一晩のうちにキャベツの葉がレースのように食べ尽くされてしまうこともあります。
私たちの武器は「目」と「手」
「そんなに虫が来るなら、少しだけ薬を使えば楽になるのに」 そう言われることもあります。
確かに、薬を使えば見た目はピカピカで、形も揃った「きれいな」野菜が効率よく収穫できるでしょう。けれど、私たちが届けたいのは「きれいなだけの野菜」ではなく、「安心して、心から美味しいと笑って食べられる野菜」です。
だからこそ、私たちは一株一株、自分の目で見て、手で触れることを大切にしています。
毎日、腰をかがめて葉の状態を確認し、虫たちを見つけては「ごめんね、ここは私たちのキャベツなんだ」と移動してもらいます。 気の遠くなるような作業ですが、こうして触れ合っていると、野菜たちの小さな変化にも敏感になります。 「今日は少し寒さに耐えているな」「この雨でぐんと大きくなったな」 虫を探す時間は、いつの間にか野菜との対話の時間に変わっていくのです。
「虫食い」は、生命力のメダル
お届けするキャベツの表面に、小さな穴が開いていることがあるかもしれません。 一般的な市場では「欠陥」とされてしまうかもしれませんが、私たちはこれを、虫たちが寄り添うほど美味しく、そして私たちが最後まで薬に頼らず守り抜いた「生命力のメダル」だと思っています。
虫食いがあるということは、その葉が柔らかく、不自然な成分が含まれていない証拠でもあります。 外側の葉を一枚めくれば、中には寒さに耐えてぎゅっと凝縮された、瑞々しい芯が詰まっています。
自然の一部として生きる
那珂川の豊かな水と、自家製発酵肥料、そして太陽の光。 私たちは、自然を支配するのではなく、その大きなサイクルの一部として、手間暇をかけて野菜をお裾分けしてもらっています。
さいきのやさいは100年先も続けていける農業を考えています。
効率や見た目だけを追い求める世の中で、あえて「知恵比べ」という面倒な道を選ぶ。 その先にある一口の「甘み」には、きっと数字では測れない価値があると信じています。
この知恵比べを勝ち抜いた自慢の野菜たちと一緒に、皆さまをお待ちしています。 ぜひ、手に取ってその重みを感じてみてくださいね。
